AI NOTE — 009

Prompt EngineeringなしでAIを使いこなす!情シス向け「Geminiのプロンプトテンプレート」活用術

「AIをもっと業務に活用したいけれど、プロンプトをどう書けばいいかわからない」「毎回ゼロから考えるのが面倒で、結局使わなくなる」——情シス担当者の中で、こういう状態で止まっている方は多いはずです。

特に、Google Workspace を導入している企業では Gemini が身近な存在になりつつあります。本記事では gemini.google.com のチャット画面を使って説明しますが、Gemini in Google Workspace(Gmail・Docs 内のサイドパネル)でも同様に利用できます。なお、Gemini 機能は Google Workspace の Business Starter 以上の有料プランに含まれており、プランによって使える機能の範囲が異なります。

この記事では、プロンプトエンジニアリング(AIへの指示文を専門的に設計する技術)の知識がなくても使える「Gemini のプロンプトテンプレート」を、情シス業務に寄せた形で紹介します。コピペしてそのまま使えるレベルで置いてあるので、明日の定型業務から試せる内容になっています。

この記事を読んだほうが良い人

  • 100名規模の企業で情シスを担当している方
  • AI活用に興味はあるものの、プロンプト作成に苦手意識がある方
  • Gemini を業務に導入したいが、具体的な活用イメージが湧かない方
  • 日々の定型業務に AI を組み込み、効率化したい方

なぜ情シスにプロンプトテンプレートが必要なのか?

AIを効果的に活用するためには、AIへの「指示書」となるプロンプトの質が重要です。しかし、質の高いプロンプトを毎回ゼロから考えるのは時間も労力もかかり、情シス業務のように範囲が多岐にわたる現場では、その負担は特に大きくなります。

ここで役立つのが「プロンプトテンプレート」です。テンプレートとは、プロンプトの骨格をあらかじめ決めておき、必要な部分だけを埋めるだけで使えるようにしたものです。これにより、以下のようなメリットが得られます。

  1. プロンプト作成のハードルを下げる: 何をどう書けば良いか迷う時間をなくし、すぐにAIを使い始められます。
  2. 出力の品質と一貫性を高める: 毎回同じ構造で指示を出すため、AIからの回答も安定しやすくなります。
  3. 効率的なAI活用を促進する: 定型業務において、思考の負荷を減らし、より多くの業務にAIを適用できるようになります。

情シス担当者にとって、限られた時間の中で最大の効果を出すために、プロンプトテンプレートは非常に強力な武器となります。

Geminiで使える!情シス向けプロンプトテンプレートの基本構造

プロンプトテンプレートは、大きく分けて以下の要素で構成すると効果的です。

  • 役割: AIにどのような立場で回答してほしいかを指定します。(例:「あなたは熟練のITコンサルタントです。」)
  • 目的: AIに何をさせたいかを明確に伝えます。(例:「以下の情報を元に、社内向けガイドラインの草案を作成してください。」)
  • 入力情報: AIが処理するために必要な具体的な情報を提供します。(例:「対象者:全従業員、内容:〜」)
  • 出力形式: AIにどのような形式で回答してほしいかを指定します。(例:「箇条書きで、重要な点から順に記述してください。」)

この4要素を「上から順に書き下す」だけで、プロンプトは格段に安定します。つまり、ゼロから考えるのではなく「穴埋め」で済むようになる、ということです。

それでは、具体的な情シス業務での Gemini プロンプトテンプレートを見ていきます。

共通の注意点: いずれのテンプレートも、Gemini が生成した内容は必ず確認・編集してから実際の業務に使用してください。特にヘルプデスク回答や報告書など、組織固有の手順や数字が絡む場面では、空欄のまま送信しないよう注意が必要です。

情シス業務で役立つGeminiプロンプトテンプレートと活用事例

1. 社内向けAI活用ガイドライン作成アシスト

社内でのAI利用が進む中、適切なガイドラインは必須です。Geminiを使って、その草案を効率的に作成しましょう。

活用シナリオ: 従業員がGeminiなどのAIツールを業務で使う際の基本的なルールや注意点をまとめたガイドラインの初稿を作成したい場合。

プロンプトテンプレート:

あなたは企業のコーポレートIT部門の担当者です。
以下の情報を元に、社内向けAI活用ガイドラインの草案を作成してください。

目的: 従業員がAIツール(Gemini等)を安全かつ効果的に利用するための基本的なガイドラインを提示する。
対象者: 全従業員
含めるべき項目:
- AI利用の基本的な考え方(倫理、情報セキュリティ)
- 機密情報・個人情報の取り扱いに関する注意点
- 生成された情報のファクトチェックの重要性
- 著作権、知的財産権に関する留意事項
- 問い合わせ先(情シス部門)
- 禁止事項(例: 差別的表現、ハラスメント生成)

出力形式: Markdown形式で、各項目を分かりやすく箇条書きで記述し、必要に応じて簡単な説明も加えてください。冒頭に「AI活用ガイドライン(草案)」というタイトルを付けてください。

使い方: gemini.google.com を開き、チャット入力欄に上記テンプレートを貼り付けてください。「含めるべき項目」を自社の方針に合わせて追加・変更するだけで、ガイドラインの初稿がすぐに得られます。情シス部門での議論の叩き台として活用できます。

2. ユーザーからの問い合わせ対応(一次回答案作成)

よくある質問への回答は、AIに一次回答案を作成してもらうことで、対応時間を大幅に短縮できます。

活用シナリオ: 「パスワードを忘れてしまった」といった定型的な問い合わせに対して、ユーザーに送る一次回答のメール文面を作成したい場合。

プロンプトテンプレート:

あなたは企業のITヘルプデスク担当者です。
ユーザーから寄せられた以下の問い合わせに対して、一次回答のメール文面を作成してください。

目的: ユーザーの問い合わせに正確かつ丁寧に回答し、次のアクションを促す。
問い合わせ内容:
「[ユーザー名]です。パスワードを忘れてしまい、ログインできません。どう対処すればよいですか?」

含めるべき情報:
- 問い合わせへの感謝
- パスワードリセット手順(例: 社内ポータルの「パスワード再設定」リンクへの誘導)
- セキュリティ上の注意喚起(例: パスワードを他人に教えない)
- 問題が解決しない場合の連絡先(ヘルプデスクのメールアドレスまたは内線番号)

出力形式: 丁寧なビジネスメール形式で記述してください。件名も提案してください。

使い方: [ユーザー名] や具体的なリセット手順、連絡先を組織に合わせて修正して利用します。これにより、ヘルプデスク担当者はより複雑な問題に集中できるようになります。

3. 月次IT報告書の下書き作成

定例の報告書作成も、AIの得意分野です。主要な情報を与えるだけで、構成された下書きが得られます。

活用シナリオ: 過去1ヶ月間のIT運用状況に関する月次報告書の下書きを作成したい場合。

プロンプトテンプレート:

あなたは企業のコーポレートIT部門の責任者です。
以下の情報を元に、月次IT報告書の下書きを作成してください。

目的: 過去1ヶ月間のIT運用状況と主要な活動を簡潔に報告する。
対象期間: [YYYY年MM月]
主要な活動と成果:
- [活動1]: [詳細]
- [活動2]: [詳細]
- [活動3]: [詳細]
発生した主なインシデント:
- [インシデント1]: [概要、対応状況]
- [インシデント2]: [概要、対応状況]
来月の予定:
- [予定1]
- [予定2]

出力形式: 報告書として適切な見出し(例: 「1. 概要」「2. 主要活動」など)を付けて記述してください。箇条書きを多用し、簡潔にまとめてください。

使い方: [YYYY年MM月] や各項目に具体的な情報を入力するだけで、報告書の骨子が完成します。これにより、報告書作成にかかる時間を大幅に削減し、内容のブラッシュアップに集中できます。

4. アカウント発行・削除時の確認事項リスト作成

新しい従業員のオンボーディングや退職者のオフボーディングは、多くの確認事項があります。AIにリストアップしてもらい、抜け漏れを防ぎましょう。

活用シナリオ: 新入社員のアカウント発行時に必要な確認事項のチェックリストを作成したい場合。

プロンプトテンプレート:

あなたは企業のITアカウント管理担当者です。
以下の情報を元に、新入社員のオンボーディング時に必要なIT関連確認事項のチェックリストを作成してください。

目的: 新入社員のスムーズなIT環境準備を支援し、抜け漏れを防ぐ。
対象者: 新入社員
考慮すべきシステム:
- Google Workspace (Gmail, Drive, Calendarなど)
- 社内ファイルサーバー
- 勤怠管理システム
- 経費精算システム
- セキュリティツール(VPN、エンドポイントセキュリティ)
- その他社内独自システム

出力形式: 実施項目、担当者、確認欄を含むチェックリスト形式で記述してください。各項目は具体的なアクションとしてください。

使い方: 考慮すべきシステム を自社の環境に合わせて調整し、アカウント発行・削除時のルーティンワークの効率化と品質向上に役立てます。

考察:プロンプトテンプレートが情シスにもたらすもの

これらのテンプレートを活用することで、情シス担当者はプロンプトエンジニアリングの複雑さに頭を悩ませることなく、AIの恩恵をすぐに享受できます。これは単なる時短だけでなく、以下のような大きな価値をもたらします。

  • 業務の標準化: 誰がAIを使っても一定の品質の出力が得られるため、業務の属人化を防ぎます。
  • 戦略的な時間創出: 定型業務をAIに任せることで、情シス担当者はより高度な課題解決や戦略的な企画立案に時間を割けるようになります。
  • AI活用の民主化: 専門知識がない従業員でもAIを使いこなせるようになり、組織全体の生産性向上に貢献します。

テンプレートは一度作って終わりではありません。使っていく中で「もっとこうしたい」「この情報も必要だ」といった改善点が必ず見つかります。自社の業務に合わせてテンプレートをカスタマイズし、新しいパターンを足していくことで、AI はさらに強力なパートナーに育ちます。

まとめ:今日から始めるAI活用の一歩

プロンプトエンジニアリングという言葉に身構える必要はありません。情シスが現場で使いたいのは「短時間で、ブレずに、同じ品質で成果物が出る仕組み」です。今回の4つのテンプレート(ガイドライン草案・ヘルプデスク一次回答・月次報告書・アカウント発行チェックリスト)は、いずれもそのまま Gemini に貼って穴埋めするだけで回ります。

大事なのは、完璧なテンプレートを目指すことではなく、「自分の業務で一番しんどい定型作業を1つ選び、そこだけテンプレート化する」ことです。うまく動いた時間を使って、次の業務を1つ置き換える。この積み上げ方が、情シスの AI 活用として一番費用対効果(ROI)が高い進め方です。

まず今日やることは1つ、「先週一番時間を溶かした定型作業」を思い出して、本記事のテンプレートに当てはめてみてください。そこが情シス版 AI 活用のスタート地点になります。


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